月と太陽

RPGツクール(主にコンシューマ版)に関連した事をつらつらと書いています。

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邂逅

ツクールDSのFULLコンテストに投稿した自作品「The Fate」の主人公とヒロインが出会う場面を簡単にテキスト化してみました。

青年はそれを見つけた時、思わず息を飲んだ。本来ならば、ここに存在するはずのない物。……いや、者、かもしれない。苔むした岩山、その断崖絶壁の上に、なぜか立派な金属製の全身鎧……あるいは、それをまとった誰か……が、横たわっていた。

「……?」

まずはじめに頭に浮かんだのは、当然、何故ここにこんなものが……?という事だった。
本来ならば父の敵を討つために港へと急ぎ向かわねばならない所だったが、道中で見つけた不思議な炎に守られたその場所を見つけた時、彼はどうしても自分の中の好奇心を抑えることが出来ず、その炎を越えて岩肌に絡みついたツタを登った。そこに何かがある。何故なのかは分からないが、彼は心の中でそう確信していた。
もしかしたら、それは運命だったのかもしれない。

青年は白銀に光るその鎧に静かに手を伸ばすと、そっと兜を取る。


「これは……!」


いかめしい鎧の下に現れたのは、これまで見た事もないほど美しい女性の姿だった。
豊かに波打つ白銀の髪、透き通る陶器のような白い肌、ほんのりと薔薇色に染まる唇……。そのこの世の者とは思えない美しさに、青年は思わず見入ってしまう。

「う……ん……」

長いまつ毛がかすかに震えたかと思うと、その眼がゆっくりと開かれる。

「あなたは……!」

女性は彼を深い海のような色の瞳で見つめると、驚きの表情を浮かべる。青年は意味が分からず、小さく首をかしげた。





長い眠りにつく前に、彼女はある未来を幻視した。それは戦乙女である彼女に与えられた特別な力…未来を視る能力によるものだ。
その未来とは、かつて自らが救った一族の末裔であり、偉大なる王の息子……そして新たな英雄となる青年が彼女の前に現れ、やがて二人は互いに愛し合うというものだった。

父の居城ヴァルハラを離れる前に、彼女はその事を自らの父であり主でもあるオーディンに打ち明けた。

「私は、生涯愛するべき人の姿をこの目ではっきりと見ました。逞しく、勇敢で、けれど決しておごる事のない……とても立派な方です。私は、きっとその方の手によって目覚める事になるでしょう」

しかし、オーディンは悲しそうに首を振る。

「だが……駄目だ。お前にも既に分かっているだろう。二人の行く末には、重く暗い結末が待ち受けている。お前達が結ばれる事は決してないだろう」

神たるオーディンもまた、彼らの未来を知っていた。そして彼女自身もまた、彼が言うように行く手に広がる深い闇を確かに感じていた。

「でも……」

それでも。

「でも……私はあの人を信じます。これから先、どんな未来が待っていても……あの人なら……いいえ。あの人と一緒なら、私はきっと耐えられる。そして、共に乗り越えていけるから……!」

まだ会った事はないけれど。それでも、彼女の視た彼は、そう信頼するに足る男だった。少なくとも彼女は、彼ならばそんな未来を変えてくれると、切り開いてくれるだろうと信じた。
ヴァルキュリアである自分はもちろんの事、知を司り天の主神たるオーディンでさえ、未来を完全に知る事はかなわない。運命を司る三女神ノルニルがどのように糸を紡ぐのか、彼女達のほんの気まぐれにしか過ぎないのだから。
それならば。自らが共に歩く人を信じようと、ブルンヒルデはそう思ったのだ。

「そうか……」

それを聞いた父は、尚も悲しそうな眼差しで愛しい娘を見る。自分がこれからしようとしている事は、ブルンヒルデには決して話す事など出来ない。それでも、この世界の為に、彼は娘の幸せをも犠牲にする決意と覚悟を胸に抱いていた。

「……」

だから、ただ彼女を見つめる事しか出来なかった。





「貴方は……?」

この出会いを予知していた彼女は、本当は彼の名前を知っている。だが、あえて確かめるように、期待を込めて尋ねた。

「俺はフーナランドを治めるヴォルスング家の王子、シグムンドの息子、シグルズだ」

やはり、そうだ。彼女はその名を確認すると、ほっと顔をほころばせる。
もう何も恐れる事などない。二人なら、きっと大丈夫だから。
高鳴る胸を落ち着けようと、大きく深呼吸する。そして、目の前に立つ青年に向かい、彼女はおずおずと口を開いた。

「私の名前は……」
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  1. 2011/06/19(日) 22:29:15|
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